ある日の遺言作成のご相談のお客様(世田谷編)

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お客様:まだまだ自分では元気だと思っていますが、いつ何が起こってもおかしくない年齢になってきたので、そろそろ自分が死んだ後のことを考えたいと思っています。

遺言専門司法書士:確かにお元気でいらっしゃいますが、お元気なうちにしか出来ない準備もあります。ご心配されていることがございましたら、ご相談ください。将来については、気づいた時から準備をされておくことをお薦めします。

お客様:実は、私には子供がおらず、妻にも5年前に先立たれているのです。今住んでいる自宅は、同居している弟家族に使って欲しいと思っていますが、実際には他の兄弟や甥姪にも手続きに協力してもらわなければならないと聞きました。

遺言専門司法書士:お子さんがおらず、親御さんも亡くなられている場合は、ご兄弟に相続する権利が移ることになります。ご兄弟が亡くなられている場合はその甥御さん、姪御さんが相続人となります。今のままでは、亡くなられた後、ご兄弟、甥御さん、姪御さんの皆さんで話し合いをして頂くことになりますね。

お客様:弟に自宅を残すにはどうしたら良いのでしょうか。また、私にとっては実の息子のような存在である甥に自宅を残すことも考えたのですが、甥はまだ5歳なのです。

遺言専門司法書士:ご兄弟が相続人となる場合に、特定の人に財産を残したい場合には、「遺言書」を書くことをおすすめします。兄弟には遺留分と言われる権利が無いため、他の相続人に侵害されることなく、残したい方に財産を残すことが出来ます。遺言書では、甥御さんに財産を残すことも出来ますが、ご兄弟がご存命の場合には相続人では無いため、「遺贈」と呼ばれる方法で残すこととなります。今回甥御さんに「遺贈」する場合には、税金面で、取得する甥御さんに不利益の無いようにする必要がありますね。

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遺言専門税理士:「遺贈」の場合、取得者に相続税や不動産取得税がかかり、かえって負担をかけることもあります。また、収入のない未成年者に遺贈する場合は、取得した後の維持・管理・運営方法等についても検討しておく必要があります。

お客様:色々な面から考えなければならないのですね。そもそも遺言は書くのが難しいと聞きました。ニュースでも、遺言が2通出てきて争っただとか、効力が無いだとか、色々なケースがあるのを見ましたので…

遺言専門司法書士:難解な文章を書く必要はありませんが、一定のルールが決まっています。ルールを守らなければ、自分の死後、効力を発揮しないことがあるのは事実です。

お客様:そもそも、遺言はどうやって書くのですか?

遺言専門司法書士:遺言にはいくつかの種類があり、代表的なものとして「公正証書遺言」「自筆証書遺言」というものがあります。「公正証書遺言」は、公証役場で認証を受けて成立するもので、遺言者本人が保管するものの他に、公証役場でもコピーが保管されるため、自分の死後、遺言書が書き換えられたり、発見されづらいといった事態を防ぐことが出来ます。
「自筆証書遺言」は、文字通り全文を自筆で書く遺言のことで、法的効力としては同じです。しかし、残された相続人が遺言書を発見した後、一定の手続きをする必要があるという違いがあります。どちらの遺言書も、法的効力を生じるには、決まった文言を入れたり、自分の死後、残された人や法務局等が内容を判断出来るよう、相続財産や取得する人を特定する等、一定のルールがあります。

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お客様:費用はどれくらいかかるのでしょうか。

遺言専門司法書士:公正証書遺言を作成する場合、公証人手数料がかかります。手数料は遺言書に盛り込む財産の価額や内容によって決まっています。まずは、公的な書面を取り寄せて相続人と相続財産を確定させ、費用やその後の手続きを検討した上で進めていくのはいかがでしょうか。税理士の先生には、ケースによって変わる税額を検討して頂こうと思います。

遺言専門税理士:相続税を含めて検討してみて、誰に残すかを決めて行くと良いと思います。

お客様:ありがとうございます。専門の先生に見て頂けると思うと心強いです。一人で悩んでいても、何も解決しませんでしたので、ずっと心配の種でした。どうぞよろしくお願いします。