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国外転出時課税制度の創設

三世代同居改修工事等に係る住宅ローン控除および所得税額控除特例の創設

20160520_00 平成27年度税制改正により、平成27年7月1日以後に国外転出をする居住者について、対象資産の含み益に対して所得税(復興特別所得税を含む)が課税される制度が創設されました。
また、非居住者である親族等に対し、贈与、相続等で資産の移転があった場合にも同様です。

改正内容

①対象者

国外転出時において(1)及び(2)のいずれにも該当する居住者が国外転出時課税の対象となります。

(1) 所有等している対象資産(有価証券等)の価額の合計が1億円以上であること
(2) 原則として国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有していること

※移住目的ではない、海外勤務目的の者も(1)及び(2)に該当すると課税対象となります。
 そのため、納税猶予制度や課税の取消し制度が用意されています。

②対象資産

国外転出時課税の対象資産(有価証券等)は下記の通りとなります。

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(1) 有価証券(株式、出資、公社債、投資信託、新株予約権など)
(2) 匿名組合契約の出資の持分
(3) 未決済信用取引等
(4) 未決済デリバティブ取引

③ 申告納税手続等

納税管理人の届出の提出(国外転出時まで)の有無により、申告期限等が異なります。

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④ 納税猶予制度

原則として、国外転出から5年間猶予されます。また、長期海外滞在が必要な状況にある場合には、納税猶予期間の延長の届出をすることで、更に5年間(合計10年間)納税猶予期間を延長することができます。

なお、担保として提供が必要な財産の価額は、納税猶予分の所得税(及び利子税)相当額です。担保提供期限は、確定申告期限です。

⑤ 課税の取消しについて

国外転出の日から5年以内に帰国した場合等で、有価証券等を引き続き有していたときは、更正の請求(帰国した日から4ヶ月を経過する日まで)により、課税の取消しをすることができます。

三世代同居改修工事等に係る 住宅ローン控除および所得税額控除特例の創設

三世代同居改修工事等に係る住宅ローン控除および所得税額控除特例の創設

topics_20151113_2 子育て支援を目的として、自己所有し居住する住宅の三世代同居改修工事等を行った場合の特例が創設されました。
住宅ローンがある場合と住宅ローンがなくても適用できる場合の2つの制度がありますのでご注意ください。

住宅ローン控除特例の創設
リフォームローン残高限度額 控除率 控除期間 最大控除額
三世代同居改修工事等 250万円 2% 5年間 62.5万円(5年間)
その他の工事 750万円 1%
1.内 容 三世代同居改修工事の住宅借入金等(償還期間5年以上)年末残高1,000万円以下の部分について、控除率を乗じた金額を所得税額から控除
2.控除期間 居住の用に供した年から5年間
3.対象工事 ① キッチン ② 浴室 ③ 玄関 ④ トイレ
4.工事要件 topics_20151113_2 (1) 上記①から④までのいずれかの増設であること
(2) 改修後、上記①から④までのうち、
いずれか2つ以上が複数となること
(3) 対象工事の費用が50万円超であること
(補助金等の交付を受けた場合は、控除後の金額)
(4) 三世代同居改修工事等証明書が発行されるものであること

〈注1〉その他の要件は、現行の住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の要件と同様です。

〈注2〉その年分の合計所得金額が3,000万円を超える場合には、本税額控除の適用はできません。

〈注3〉二以上の増改築等をした場合の控除額計算の調整措置等が講じられます。

所得税額控除特例の創設
税額控除額= 対象工事の標準的な費用相当額(限度額250万円) × 10%
1.内 容 三世代同居改修工事の標準的な費用相当額の10%相当額を所得税額から控除
(標準的な費用相当額=部位ごとの単位あたりの標準的な費用×改修箇所数)
2.控除期間 居住の用に供した年のみ
3.対象工事 ① キッチン ② 浴室 ③ 玄関 ④ トイレ
4.工事要件 (1) 上記①から④までのいずれかの増設であること
(2) 改修後、上記①から④までのうち、
いずれか2つ以上が複数となること
(3) 対象工事の費用が50万円超であること
(補助金等の交付を受けた場合は、控除後の金額)
(4) 三世代同居改修工事等証明書が発行されるものであること

〈注1〉その年分の合計所得金額が3,000万円を超える場合には、本税額控除の適用はできません。

〈注2〉その年の前年以前3年内の各年分において本税額控除の適用を受けた者については、本税額控除の適用はできません。

〈注3〉住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除又は特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得
税額の特別控除の適用を受ける場合は、本税額控除は適用できません。

〈注4〉確定申告書に控除に係る明細書、登記事項証明書等の添付がある場合に限り適用されます。

適用時期

自己所有の家屋に三世代同居改修工事等をして、平成28年4月1日から平成31年6月30日までの
間に居住の用に供したときは、いずれかの特例を適用できます。
併用することはできませんのでご注意ください。

医療費控除の特例(スイッチOTC薬控除)の創設

医療費控除の特例(スイッチOTC薬控除)の創設

所得税の所得控除に医療費控除がありますが、セルフメデュケーション(自主服薬)推進のためスイッチOTC薬控除という特例が別途設けられる予定です。

スイッチOTC薬とは

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「OTC薬」とは、薬局やドラッグストアなどで販売されている医薬品のことで、
病院の処方箋を受けずに入手することができる医薬品をいいます。
そのうち「スイッチOTC薬」とは、要指導医薬品及び一般医薬品のうち、
医療用から転用された医薬品をいいます。代表的なものとしては、花粉症治療薬の
「アレグラ」や痛み止めの「ロキソニンS」などが挙げられます。

スイッチOTC薬控除の内容

【1】 内 容

医 療 費 控 除 の 特 例 (スイッチOTC薬控除)
対 象 者

一定の取組を行う個人

対象者

一定の取組とは、次の検診または予防接種
(医師の関与があるものに限定)
①特定健康診査 ②予防接種 ③定期健康診断
④健康診査 ⑤がん検診

対象となる医療費

控除対象薬品 - ① - ②

①保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補填される部分の金額
②12,000円

所 得 控 除 額 最大 88,000円
適 用 範 囲

適用範囲

自己または自己と生計を一にする配偶者
その他の親族のためにその年中に支払った金額

1年間のスイッチOTC薬購入合計金額

【2】 適 用 時 期

平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、その対価を支払った年分に適用

【3】 医療費控除との関係

医療費控除の特例(スイッチOTC薬控除)と現行の医療費控除は併用できません。

※平成28年3月1日現在、平成28年度税制改正大綱は法律案を国会に提出審議中です。

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設

平成28年度税制改正案で、「空き家に係る譲渡所得の特例」が創設されました。これは、近年空き家が放置され、周辺の生活環境への悪影響を未然に防ぐ観点から、空き家の最大の要因である「相続」に由来する古い空き家(除却後の敷地を含む)の有効活用を促進することにより、空き家の発生を抑制するための新たな制度になります。

制度概要

相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住用家屋を相続した相続人が、その家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む)または除却後の土地を譲渡した場合には、その家屋または除却後の土地の譲渡所得の金額について「居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除」を適用することができます。

適用対象資産

■居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円特別控除を適用することができる資産は、次のとおりになります。

  1. 【1】被相続人の相続開始の直前において被相続人の居住用家屋
    1. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)
    2. 被相続人の相続開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかった家屋
  2. 【2】被相続人の相続開始の直前において被相続人の居住用家屋の敷地等
適用要件

■上記譲渡所得の特例対象となる適用要件は、次のとおりになります。

  1. 【1】適用対象期間
    1. 平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間の譲渡 「かつ
    2. 相続の時から相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間の譲渡
  2. 【2】譲渡価額
    1. 対象資産となる譲渡価額が1億円以下
  3. 【3】適用要件(次のいずれかに該当する場合)
    1. 被相続人の居住用家屋の譲渡(イとロの要件を満たすものに限る)
    2. 被相続人の居住用家屋の敷地の用に供されている土地等の譲渡
      1. その相続の時からその譲渡の時まで事業、貸付または居住の用に供されていたことがないこと
      2. その譲渡の時において地震に対する安全性に係る規定またはこれに準ずる基準に適合するものであること
    3. 被相続人の居住用家屋(ハの要件を満たすものに限る)の除却をした後に、その敷地の用に供されていた土地等(ニの要件を満たすものに限る)の譲渡
      1. その相続の時からその「除却」の時まで事業、貸付または居住の用に供されていたことがないこと
      2. その相続の時からその「譲渡」の時まで事業、貸付または居住の用に供されていたことがないこと

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手続要件

確定申告書」に、被相続人の居住用家屋及びその被相続人の居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等が上記【3】の1、2、3いずれかの要件を満たすことを地方公共団体の長等が確認をした旨を証する書類等の添付がある場合に限り適用されます。

※上記特例は、平成28年度税制改正大綱に基づき作成しており、平成28年2月10日現在審議中です。

平成28年度税制改正大綱 速報版

平成28年度税制改正大綱 速報版(1)

項目 内容 適用時期等


法人実効税率の引き下げ 国・地方を通じた法人実効税率(27年度:32.11%)が、平成28年度に29.97%(▲2.14%)、平成30年度に29.74%(▲2.37%)となります。
(実効税率は中小法人以外の普通法人の実効税率)
平成28年4月1日以後に開始する事業年度より順次適用
外形標準課税の拡大
  • 中小企業は引き続き、外形標準課税の対象外となります。
  • 所得割の税率引下げに伴い、資本金1億円超の普通法人の地方法人特別税率が414.2%(現行93.5%)に引き上げられます。
  • 負担変動の軽減措置が拡充されます。
平成28年4月1日以後に開始する事業年度より適用
繰越欠損金の控除の見直し
  1. 青色欠損金の繰越控除制度の控除限度額(大企業向け制限)が、平成28年度に60%(現行65%)、平成29年度に55%(現行50%)に変更されます。(平成30年度以後は50%のまま変更なし)
  2. 繰越期間が10年(現行9年)に延長される開始時期が1年延長されます。
  1. 平成27年4月1日以後開始する繰越控除をする事業年度より適用
  2. 平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額から適用
減価償却制度の見直し 建物付属設備や構築物について、償却方法が定率法が廃止され、定額法に一本化されます。 平成28年4月1日以後に取得する該当設備について適用
生産性向上設備の固定資産税の特例の創設
  • 中小企業者等が一定の生産性向上設備(仮称・機械装置)を取得した場合、固定資産税の課税標準が最初の3年間価格が2分の1と軽減されます
  • 現行の生産性向上設備等を取得等した場合の特別償却・税額控除制度は適用期限をもって廃止されます。
中小企業の生産性向上に関する法律(仮称)の施行日から平成31年3月31日までの間に取得したものについて適用
雇用促進税制の拡充・延長
  • 雇用促進税制の適用期限が2年間延長され、対象となる雇用増が「一定の有効求人倍率が低い地域における無期・フルタイムの雇用増」に限定されます。
  • 所得拡大促進税制との併用が可能となります(一定の調整計算あり)。
平成30年3月31日まで延長
企業版ふるさと納税の創設 地方公共団体が行う、地方創生を推進する上で効果の高い一定の事業に対して行った寄付について、法人事業税・法人住民税・法人税の税額控除制度が創設されます。 地域再生法の改正法の施行日から平成32年3月31日までの一定の寄付について適用
交際費の損金不算入制度の延長 現行の交際費の損金不算入制度、接待飲食費に係る損金算入の特例、中小法人に係る損金算入の特例の適用期限が2年間延長されます。 平成30年3月31日まで延長
少額減価償却資産の損金算入特例の延長
  • 中小企業者等の少額減価償却資産(取得価額30万未満の減価償却資産)の損金算入の特例の適用期限が2年間延長されます。
  • 常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人が特例の対象外となります。
平成29年1月1日から平成33年12月31日までに支出したスイッチOTC医薬品について適用


スイッチOTC薬控除の創設 一定の条件のもと、スイッチOTC医薬品※の購入金額のうち一定額を、その年分の総所得金額等から控除できるようになります(現行の医療費控除との選択適用)。
※スイッチOTC医薬品とは、要指導医薬品および一般用医薬品のうち、医療用から転用された一定の医薬品をいいます。
平成29年1月1日から平成33年12月31日までに支出したスイッチOTC医薬品について適用
国外転出時課税の見直し等
  1. 上場株式等の譲渡損失の損益通算等における上場株式等の譲渡の範囲に、国外転出時課税の適用による譲渡が含まれるようになります。
  2. 非居住者が相続人だった場合等の国外転出時課税制度について、準確定申告の期限までに未分割であった相続株式の遺産分割が確定した場合等の修正申告・更正の請求手続きが整備されます。
2.平成28年1月1日以後に一定の事由が生じた場合に適用

この速報版は平成27年12月16日公表の平成28年度税制改正大綱に基づいて作成しています。改正は国会の審議を経て可決・決定するものであり、本資料の内容については正確性を期しておりますが、改正内容等の確実性・正確性を保証するものではありません。予定される税制改正を踏まえ意思決定等を行うときは、事前に顧問税理士等の専門家にご相談ください。

平成28年度税制改正大綱 速報版(2)

項目 内容 適用時期等





空き家に係る譲渡所得の特別控除の創設 相続時から3年を経過する日の属する年の年末までに、被相続人の居住用不動産を相続した相続人が、その居住用不動産を譲渡した場合には、一定の条件のもと、譲渡益から3,000万円を控除することができるようになります。 平成28年4月1日から平成31年12月31日までの譲渡について適用
既存住宅における三世代同居改修工事をした場合の特別控除の創設 自己の有する家屋に一定の三世代同居改修工事を行った場合に、一定金額を所得税額から控除できる制度が創設されます。 平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に行われた工事について適用
農地保有にかかる課税の強化・軽減
  1. 一定の遊休農地について、固定資産税等における農地の評価上、正常売買価格から45%差し引く制度が適用対象外となります。
  2. 農地を10年以上農地中間管理機構(農地集積バンク)に貸した場合、農地の固定資産税等の課税標準が3年間半額となります。
    (賃貸期間が15年以上の場合は、5年間半額)
1.平成29年度から適用
居住用財産の買換え等の場合の各特例の延長 以下の制度が2年間延長
「特定の居住用財産の買換え等の場合の長期譲渡所得の課税の特例」
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除」
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除」
平成29年12月31日までの居住用財産の譲渡まで延長


消費税の軽減税率の導入 平成29年4月1日から消費税等の税率が8%から10%に変更する際、飲食料品の譲渡等※に対して軽減税率(8%)が導入されます。
※(1)酒類及び外食等を除く
(2)定期購読契約が締結された週2回以上発行される一定の新聞
平成29年4月1日から導入
インボイス制度の導入
  1. 適格請求書(インボイス)の保存が仕入税額控除の要件とされます。
    (税率の異なる商品ごとの税率・税額、事業者ごとの番号を明記)
  2. インボイス導入までの間は、現行の請求書等保存方式を維持しつつ、軽減税率の区分経理に対応するための措置が講じられます。
    (軽減税率の対象である旨、税率ごとの対価の額を請求書等に記載。上記事項を請求書等の交付を受けた事業者が追記することも認められる)
  1. 平成33年4月1日から導入
  2. 平成29年4月1日から導入
売上税額の簡便計算に係る経過措置 基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者について、一定割合※を軽減税率対象品の売上げとして税額を計算する特例が設けられます。
※売上高に占める軽減税率の対象品の割合を一定の方法で計算し、実際の売上高合計にこの割合をかけて売上げに係る税額を計算する制度。算定が困難な場合は、その割合を50%として計算することも可能。
平成29年4月1日から平成33年3月31日までの期間に適用
(平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までは、基準期間における課税売上高が5,000万円超の事業者も一定の場合、適用可能)
仕入税額の簡便計算に係る経過措置 基準期間における課税売上高が5,000万円超の事業者に簡易課税に準じた方法で課税仕入れ等の税額を計算することを認める措置及び簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書等を提出した日の属する課税期間から適用が認められる措置※が講じられます。
※現行では、原則は課税期間開始前の提出が必要
平成29年4月1日から平成30年3月31日までの日の属する課税期間の末日までに一定の届出をした場合に適用
高額資産を取得した場合の仕入税額控除の適用の見直し 事業者(免税事業者を除く)が、簡易課税制度の適用を受けない期間中に、国内における高額資産※の課税仕入等を行った場合には、その仕入等の日の属する課税期間からその課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度及び簡易課税制度が適用できなくなります
※高額資産とは、一取引単位につき、支払対価の額が税抜1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産
平成28年4月1日以後に仕入れ等を行った場合に適用。
ただし平成27年12月31日までに締結した契約に基づき平成28年4月1日以後に仕入れ等を行った場合は適用なし。


加算税制度の見直し 過去5年以内に無申告加算税または重加算税が賦課された者に対し、再び無申告加算税または重加算税を賦課する場合について、これらの加算税が10%加重する措置が導入されます。 平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用
自動車取得税・自動車税・軽自動車税
  1. 自動車取得税が平成29年3月31日をもって廃止されます。
  2. 自動車税・軽自動車税に環境性能割(仮称)が導入され、「取得価額×税率」で課税されます(税率は燃費基準等により決まり0%~3.0%)
  3. 自動車税・軽自動車税のグリーン化特例について見直しが行われた上、適用期限が1年延長されます。
2.平成29年4月1日から施行し、同日以後の自動車の取得に対して適用
3.平成29年3月31日まで延長

この速報版は平成27年12月16日公表の平成28年度税制改正大綱に基づいて作成しています。改正は国会の審議を経て可決・決定するものであり、本資料の内容については正確性を期しておりますが、改正内容等の確実性・正確性を保証するものではありません。予定される税制改正を踏まえ意思決定等を行うときは、事前に顧問税理士等の専門家にご相談ください。

ふるさと納税の謝礼として受け取った特産品の取扱い

ふるさと納税の謝礼として受け取った特産品の取扱い

平成27年度の税制改正でふるさと納税制度が拡充されたことにより、ふるさと納税がより身近なものになりました。
また、謝礼として送られる地方の特産品の品揃えが充実したことも、ふるさと納税をする人が増えてきた要因の一つだといえます。そこで今回は、ふるさと納税の謝礼として送られる地方の特産品について、税務上の取扱いを紹介します。

謝礼として送られる特産品の考え方

税務上、ふるさと納税の謝礼として受け取る「特産品」は、地方公共団体からの贈与により取得したものと考えられています。この場合、ふるさと納税をした寄附者が受け取る「特産品」の経済的利益は一時所得に該当することになります。

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一時所得の計算方法

ふるさと納税の謝礼で受け取る「特産品」の一時所得の計算方法は、次のとおりです。

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  • ①に計上するふるさと納税の謝礼として受けた特産品の収入金額に計上する価額は、各地方自治体のホームページなどで「特産品○○○円相当」と示されているのが一般的なことから、その価額を一時所得の総収入金額に含めることになります。
  • ②に計上する支出した金額については、支払ったふるさと納税は、あくまで地方公共団体への寄附金であり、特産品を受け取るために支出した金額ではなく、特産品は無償で受け取ったと考えられるため、一時所得の総収入金額から控除する金額は、0円となります。

一般的には、一時所得の金額の計算では、50万円の特別控除額があるため、ふるさと納税の謝礼として受け取る特産品の経済的利益だけで50万円を超えることは、少ないであろうと考えられます。
ただし、その年に他の一時所得があれば、それも合算して一時所得の計算をするため注意が必要です。

こんな人は注意が必要

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質
や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
この所得には次のようなものがあります。

  1. 懸賞や福引きの賞金や物品、競馬や競輪の払戻金
  2. 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
  3. 法人から贈与された金品(ふるさと納税の謝礼がこれに当たります)
  4. 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金など

ふるさと納税の謝礼として受け取った特産品以外に上記のような収入がある場合は、特別控除額の50万円を超えて一時所得が発生する可能性があるため注意が必要です。
その場合は、ふるさと納税の謝礼として受け取った物産品の経済的利益「○○○円相当」を確定申告までに事前に調べておく必要があります。また、特産品の金額について、地方自治体のホームページ等で確認できない場合は、直接、地方自治体の窓口に電話をして確認をすることになります。

生前贈与の活用が活発化

生前贈与の活用が活発化

相続税の増税が平成27年1月1日から始まり、新聞・雑誌のみならずテレビでも相続や相続対策が頻繁に取り上げられるようになりました。代表的な相続対策のひとつが生前贈与です。最近では、贈与を利用する方が急増しています。

国は贈与を推奨している?
  • 平成26年分の贈与税の申告納税額は、前年に比べ63.1%も増加
    現行の基礎控除額(110万円)となった平成13年以降で過去最高額
  • 背景として国は高齢化社会に対する財産の早期移転手段として、近年、生前贈与を推奨する政策を採用
  • 子供や孫への暮らしにまつわる贈与税の非課税措置の充実化
    住宅取得等資金贈与の特例の拡充
    教育資金の一括贈与(非課税枠1,500万円)
    結婚・子育て資金の一括贈与(非課税枠1,000万円)
  • 通常の暦年贈与の税率も平成27年1月から緩和

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贈与実行の効果は?
生前贈与を上手く活用すると、結果として相続税の負担が減少します。
110万円の基礎控除額を超えて贈与を検討する場合、相続税と贈与税の税率格差を理解することが欠かせません。
税率で考える生前贈与

例えば、相続財産が3億円、相続人が子供1人(20歳以上)とします。
この場合の基礎控除額は3,600万円(=3,000万円+600万円×1人)です。
相続税の課税対象となる金額は2億6,400万円(=3億円−3,600万円)となります。
この金額を〔表1〕の相続税の速算表に当てはめると2億円超の税率は45%に達していることがわかります。
この税率は、今の相続財産が仮に1,000万円減少すれば、450万円(1,000万×45%)の相続税額が減少することを意味しています。

では仮に1,000万円を子供へ生前贈与した場合の税負担はどうなるでしょうか。贈与税額は177万円となり、〔表2〕の税負担率は17.7%となります。

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本事例の場合、1,000万円の生前贈与により贈与税が177万円増加し、相続税が450万円減少することで、結果として将来の相続税負担が、273万円(450万−177万)減少することになります。なお、緩和前の平成26年に贈与した場合の贈与税は177万円ではなく、231万円でした。したがって、今後はますます、ご自身の相続税の税率を意識して、生前贈与の金額を決定することが大切になります。

贈与は原則としてあげる側ともらう側の意思が合致して成立する契約行為ですので、もらう側が知らない行為など贈与としての事実が認められないケースもあります。したがって、贈与の実行にあたっては、贈与契約書を作成し、自署することが大切です。

「財産債務調書」の提出制度の創設

「財産債務調書」の提出制度の創設

平成27年度税制改正により、財産及び債務の明細書を見直し、一定の基準を満たす方に対し、保有する財産及び債務にかかる調書の提出を求める制度が創設されました。
提出義務を負う納税者は、その準備に相当の労力がかかることが予想されます。

改正ポイント

  • 提出義務要件の変更
  • 提出の有無による加算税の加算・軽減措置(優遇措置と罰則)の設置

改正内容

「財産及び債務の明細書」が「財産債務調書」に変更されます。
この制度は、平成28年1月1日以後提出分の確定申告書(所得税及び復興特別所得税)より適用となります。

改正前(財産及び債務の明細書)

提出義務要件
その年分の各種の所得金額の合計額が2千万円を超える方
優遇措置及び罰則
特になし

改正後(財産債務調書)

提出義務要件
その年分の総所得金額及び山林所得の金額の合計額が2千万円を超える方
かつ
次のいずれかの要件を満たす方
1.その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産を有する方
2.その年の12月31日において、その価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産(※)を有する方

※国外転出特例対象財産
有価証券等、未決済信用取引等、未決済デリバティブ取引にかかる権利をいいます。

優遇措置及び罰則
1.提出期限内に適正に提出した場合
 記載財産等の申告漏れ(所得税・相続税)があった場合の加算税が5%減額(優遇措置)
2.財産債務調書の不提出・記載不備がある場合
 記載されるべき財産等の申告漏れ(所得税)があった場合の加算税が5%加重(罰則)

その他財産債務調書に関する注意事項

  • 国外財産調書と異なり、財産債務調書の不提出による罰則規定はありませんが、国税職員による財産債務調書に係る質問検査権の行使等に対する不答弁などについては、罰則規定が適用されます。
  • 財産の価額は、その年の12月31日における「時価」又は時価に準ずるものとして「見積価額」によることとされています。
  • 財産債務調書には、提出者の氏名、住所(又は居所)に加え、財産の種類、数量、価額、所在並びに債務の金額等を記載することとされています。
  • 財産債務調書は、その年の翌年の3月15日までに所得税の納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

『通知カード』が届いたら何をしたらいいの?

『通知カード』が届いたら何をしたらいいの?

マイナンバー制度の開始まで残すところ4か月となりました。そこで9月号では来月以降に送付される「通知カード」が届いてからの手続きをご紹介させていただきます。

1 0 月以降に送付されてくるものって何?

マイナンバーを記した通知カードは、平成27年10月5日時点で、国籍に関係なく日本国内に住民票がある人全員に対し、原則として、住民登録されている住所に世帯ごとに簡易書留で送付されます(転送はされません)。

もし現住所と住民登録の場所が異なっていたら?
この場合には受け取れない可能性があるため、通知カードを受け取るために各市区町村の窓口に本人が出向く必要があります。

簡易書留で送付されてくる中身

  1. 通知カード
  2. 個人番号カードの申請書と返信用封筒
  3. マイナンバーについての説明書類

通知カードとは、本人の氏名、住所、生年月日、性別、個人番号が記載されたカードです。個人番号カードとは、通知カードと引き換えに発行されるカードで、本人の氏名等が記載され、本人の写真が表示されます。

個人番号カードの申請と受取の方法は次のようになっています。
なお、申請するかどうかは任意で決めるものであり、強制されるものではありません。

申請方法

  • 「個人番号カード」の申請書に署名または記名押印+ 顔写真を貼付【返信封筒に入れて郵送】
  • スマートフォンで顔写真を申請【オンラインで申請】

受取方法

平成28年1月以降、本人が各市区町村の窓口で個人番号カードを受け取る際に以下の必要書類を持参して受け取ります。

  1. 通知カード
  2. 申請後に届く交付通知書(はがき)
  3. 運転免許証などの本人確認書類

ただし、病気や障害などによりご本人が出向くことが難しい場合は、ご本人が指定する方が代わりに交付を受けることができます。

事業者の方が年内に個人番号を収集するために

平成27年中でも、平成28年1月から始まる法定調書の提出など個人番号関係事務のため、あらかじめ個人番号を収集することができます。ただし、個人番号の事前収集をする場合には、次の事をしなくてはなりません。

  1. 番号法に基づく取り扱い規程の策定等を含む安全管理措置

    具体的には

    1. 個人番号を取り扱う事務の範囲を明確にする
    2. 特定個人情報等の範囲を明確にする
    3. 事務取扱担当者を明確にする
    4. 基本方針を策定する
    5. 取扱規程等を策定する

    といったことです。

  2. 従業員等への利用目的の明示
    個人番号事務関係以外の目的で個人番号の提供を求めてはなりませんし、個人番号を取得する際は利用
    目的を特定して明示する必要があります。また、番号法で限定的に明記された場合を除き、特定個人情報を提供も収集もしてはいけません。
  3. 事実上の本人確認措置(番号確認および身元確認)

    個人番号の提供を受ける場合、本人確認として、

    1. 番号確認(正しい個人番号であることの確認)
    2. 身元(実在)確認(提供を行う者が番号の正しい持ち主であることの確認)

    の2つの確認を行う必要があります。
    個人番号カードを持っている場合には、番号確認と身元確認がこのカードのみで可能です。
    通知カードの場合には、番号確認はできますが、写真が無いため身元確認はできません。そのため、運転免許証やパスポートなどで身元確認をすることになります。

※制度上は個人番号を記載した給与所得者の源泉徴収票の初回提出期限が平成29年1月31日までとなっておりますので、その時までに個人番号を収集すればよいことになっていますが、通知カードの紛失等の可能性があるため、できれば平成27年中に個人番号を収集するのが望ましいと思われます。実際に実務上の対応としましては、年末調整に必要な平成28年分の扶養控除等申告書等の提出を受ける平成27年11月から12月の間に収集するケースが多いと見込まれます。

ふるさと納税の拡充

ふるさと納税の拡充

平成27年度税制改正により、いわゆる「ふるさと納税※」について、より身近に利用しやすくなる改正がありましたので、ご紹介致します。

※都道府県または市区町村に対する寄附金に係る寄附金税額控除

改正ポイント

  • 全額控除されるふるさと納税枠が、約2倍に拡充
  • 手続きが簡素化できる制度の創設により一定の条件を満たした場合に確定申告が不要

改正内容

  1. 平成28年度分以後の個人住民税に適用
  2. 平成27年4月1日以後の寄附から適用

特別控除限度額の引き上げ

ふるさと納税の特例控除限度額が、個人住民税所得割額の2割(現行1割)に引き上げられます。

ふるさと納税ワンストップ特例制度の創設

確定申告を行っていない給与所得者がふるさと納税をした場合、現行までは確定申告により控除を受けていましたが確定申告を行わなくとも寄附金控除を受けられる制度が創設されました。
ただし、納税先の自治体数は5団体以内、かつ、各自治体に特例の適用に関する申請書の提出が必要です。

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給与所得者の場合の納税額(年間上限)の目安
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<表の見方>
給与収入300万円で独身の方は、31,000円以下のふるさと納税であれば自己負担額は2,000円となりますが、31,000円を
超える額をふるさと納税した場合、超える金額分の自己負担が増えることとなります。