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相続税見直しによる還付手続きについて

相続税見直しによる還付手続きについて

すでに税務署に提出した相続税申告書をあらためて見直すことにより、納めた税金が還付されるケースがあります。もともと、相続税申告業務を多数手がけている税理士はそれほど多くありません。また、依頼した税理士の経験・知識などによって財産の評価額に差が生じ、相続税を多く支払っている可能性があるためです。

相続税還付手続きとは

相続税還付手続きとは、相続税申告期限(亡くなった日から10ヶ月)から5年以内であれば税法に定める「更正の請求」という方法により、課税庁に対し、納めすぎた相続税の返還を求める手続きをいいます。

【更正の期間:法定申告期限 平成23年12月1日まで】

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【更正の期間:法定申告期限 平成23年12月2日以後】

※平成23年12月2日以後に相続税の申告期限が到来する場合には、更正の請求期限が原則5年に延長されます。

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相続税還付が認められる要因

相続税還付が認められる主な要因として、「土地の評価の見直し」「税理士の相続税申告業務に対する経験の差」などが考えられます。

【土地評価の見直しによる主な減額要因】

  1. 不整形地(地形が良くない土地)
  2. 一つの土地に複数の住宅やアパートが建っている土地
  3. 市街化調整区域の雑種地
  4. 車が対向できないほどの狭い道に面した土地
  5. 500㎡以上の住宅敷地・アパート敷地・空地等(広く大きな土地)
  6. 私道に面した土地
  7. 無道路地(道路に接していない、または少しだけ接している土地)等

※上記土地等を相続された方は、土地評価を見直すことにより、相続税還付の可能性があります。

【税理士の相続税申告業務に対する経験の差による減額要因】

例えば、医師にも外科医、内科医、耳鼻科医、眼科医等の専門分野があるように、税理士にも法人税、所得税、相続税など税法により専門分野があります。

税理士にとって相続税は経験が積みにくい分野です。国税庁によると相続税申告は年間4万件台。対する税理士の数は約7万人です。統計上、2年に1件程度しか税理士は相続税申告を行っておりません。そのため実際には財
産評価をより低くできるのに、その経験の差から過大な申告を行っていることもあります。

※依頼した税理士の申告内容によっては、最終的に相続税額が数百万円から数千万円の差が生じることもあります。また、相続税申告後に行われる可能性がある税務調査対応などを含め、相続税業務を専門にしている税理士に相談することをお勧めいたします。

国税庁が平成26年分の路線価を公表しました

国税庁が平成26年分の路線価を公表

国税庁は平成26年7月1日に平成26年分の路線価を公表しました。東京、横浜、さいたま等の都市部では前年対比で上昇率が5%以上になるなど大都市圏で地価の回復が鮮明になりました。

路線価とは

路線価とは相続や贈与により取得した財産のうち不動産を評価する場合に適用する1㎡あたりの土地の価格です。
この路線価は毎年変わり、7月1日に国税庁から公表されます。路線価の評価時点はその年の1月1日で土地取引の指標となる公示地価の8割程度の価額となっているのが一般的です。

路線価が上昇した都市(18都市)

前年より上昇した都市は18都市あり、その中の8都市は、5%以上の上昇率になっています。

【上昇率5%以上の都市】 東京、横浜、さいたま、名古屋、大阪、金沢、広島、那覇
【上昇率5%未満の都市】 札幌、仙台、岐阜、静岡、大津、京都、神戸、奈良、岡山、福岡

路線価の上昇率トップは前年比10%の名古屋駅前の大型再開発地。大都市圏での不動産取引による地価の回復が鮮明になっています。

路線価の前年対比上昇率順

順位 上昇率 所 在 地 路線価(1㎡あたり)
1位 10.0% 名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り 660万円
2位 9.7% 東京都中央区銀座5丁目 銀座中央通り 2,360万円
3位 7.8% 横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り 666万円
4位 7.1% さいたま市大宮区桜木町2丁目 大宮駅西口駅前ロータリー 241万円
5位 6.2% 大阪市北区角田町 御堂筋 756万円

最高路線価を都道府県別価額順でみると、首位は29年連続で東京都中央区銀座5丁目の鳩居堂前。
1㎡あたり2,360万円(前年は、2,152万円)で最高額を更新しました。上位5都市の順位は前年と同順ですが軒並み上昇しており、金融危機で一旦下落した地価が回復傾向にあることを表しています。

最高路線価の都道府県別価額順

順位 所 在 地 路線価(1㎡あたり)
1位 東京都中央区銀座5丁目 銀座中央通り(鳩居堂前) 2,360万円
2位 大阪市北区角田町 御堂筋 756万円
3位 横浜市西区南幸1丁目 横浜駅西口バスターミナル前通り 666万円
4位 名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り 660万円
5位 福岡市中央区天神2丁目 渡辺通り 475万円

今回公表された平成26年分の路線価は、大都市圏を中心に地価が回復傾向にあることを示しています。
また、今年の1~6月の企業による不動産取引額が前年同期比で6%上昇の約2兆5000億円となり、金融危機後で最高の取引額となっています。今後も地価の上昇期待や低金利政策が、不動産市況回復の追い風となり、都市部では路線価を上昇させる要因となりそうです。

不動産保有会社の相続税対策Q&A」(中央経済社)の第3版を出版しました

「不動産保有会社の相続税対策Q&A」(中央経済社)の第3版を出版

個人については、平成25年の税制改正により所得税等の最高税率が50%から55%に上がる一方、法人については諸外国との競争の観点から復興税を1年前倒しして廃止等、法人税率が引き下げられました。

ただ、それでも日本の法人税率は高いため、政府はさらに法人税の引き下げを検討し、数年以内に実効税率を20%台にする議論が行われています。

そのため、個人と法人の最高税率の格差が広がり、今後も更に広がると予想されます。その影響を受けてか以前と比べ、「不動産を購入する際に個人と法人どちらで保有する方が良いか?」「個人資産を法人に移転した際のメリット・デメリットは何か?」というような内容のご相談が多くなりました。

その中で私共では、「不動産保有会社の相続税対策Q&A~有利選択・設立・活用のすべて~」(中央経済社)を平成24年12月に第1版を出版し、皆様からの反響が予想以上に多く、この度、第3版を出版することになりました。

第3版では、平成26年4月から税率が引き上げられた消費税の改正項目や平成27年からの相続税の改正項目等を盛り込んだ内容となっております。

Q&A形式で分かりやすくなっております。全国の書店で販売しております。

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(注)この原稿の著作権は当サポートセンターに帰属しており、無断で使用または複製等することを禁止します。

非嫡出子の相続分に関する9月4日最高裁決定

非嫡出子の相続分に関する9月4日最高裁決定

平成25年9月4日付最高裁判所の決定(以下「違憲決定」といいます)を受けて、今後の実務上の対応について、国税庁のHPに9月24日付で掲載された内容をご紹介したいと思います。

用語の解説

嫡出である子(嫡出子)・・・法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子
嫡出でない子(非嫡出子)・・・法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子

判決内容

平成25年9月4日付最高裁判所の決定内容
民法第900条第4号ただし書前段(以下「嫡出に関する規定」といいます。)
「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」

平成25年9月5日以後、申告する場合においては、「嫡出に関する規定」がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて相続税額を計算します。

留意事項

 今回の違憲決定を受けて、納税者側が手続を行う際の留意事項についてご紹介します。

【1】平成25年9月4日以前に相続税額が確定している場合

平成25年9月4日以前に、申告により相続税額が確定している場合には、嫡出に関する規定を適用した相続分に基づいて相続税額の計算を行っていたとしても、相続税額の是正はできません。また、嫡出に関する規定を適用した相続分に基づいて、相続税額の計算を行っていることのみでは、更正の請求の事由には当たりません。

【2】平成25年9月5日以後に相続税額が確定する場合

①平成25年9月4日以前に確定していた相続税額が異動する場合
平成25年9月4日以前に、申告等により相続税額が確定している場合において、同年9月5日以後に相続人が、財産の申告漏れ、評価誤りなどの理由により、更正の請求書若しくは修正申告書を提出する場合には、「嫡出に関する規定」がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、更正の請求又は修正申告に係る相続税額を計算します。

②平成25年9月5日以後に新たに相続税額が確定する場合
平成25年9月5日以後に、相続税の期限内申告書又は期限後申告書を提出する場合には、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、期限内申告又は期限後申告に係る相続税額を計算します。

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注目される非嫡出子の法定相続分

注目される非嫡出子の法定相続分

7月10日に最高裁の法廷で非嫡出子(婚外子)の法定相続分を争われた遺産分割審判の特別抗告審の弁論が行われ、結審されました。民法900条(法定相続分)の4号の但し書により、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。」と定められており、嫡出子(法律上、結婚された夫婦の間に生まれた子)と比べ、非嫡出子の法定相続分は半分とされています。

この法定相続割合の規定は、「法の下の平等を定めた憲法に違反する」と非嫡出子が訴え、今年の秋にも結果が出される予定です。この問題は、過去にも取り上げられ、平成7年7月5日の最高裁判決では、「憲法14条1項は法の下の平等を定めているが、憲法の規定は合理的理由のない差別を禁止する趣旨のものであって、各人に存する経済的、社会的その他種々の事実関係上の差異を理由としてその法的取扱いに区別を設けることは、その区別が合理性を有する限り、何ら憲法の規定に違反するものではない」と合憲とされました。

同様の規定がドイツでは1998年に、フランスでは2001年に廃止の法改正が行われる等の結果、欧米各国には存在しません。

この度の結果次第では、民法で定める法定相続割合が抜本的に変わる可能性があり、今後の遺産分割や相続税に大きく影響を及ぼすため、この結果は、非常に注目すべきものとなります。

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平成25年度税制改正~未成年者控除及び障害者控除の見直し~

平成25年度税制改正~未成年者控除及び障害者控除の見直し~

平成25年3月29日に税制改正法案が国会で承認され、相続税の未成年者控除及び障害者控除について、前回改正時(昭和63年)からの物価の動向及び相続税全体の内容を踏まえ、控除額を次の通り引き上げる見直しが行われます。

※上記控除は、両方とも平成27年1月1日以後の相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

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平成25年度税制改正~老人ホームに入居した場合の相続税の小規模宅地の評価減の特例の取扱~

平成25年度税制改正~老人ホームに入居した場合の相続税の小規模宅地の評価減の特例の取扱~

概要

被相続人が相続開始直前において、一般の老人ホームに入所していた際、ホーム入居前の自宅について小規模宅地の特例の適用を受けることが可能か否か?

現行の取扱い

国税庁HP(質疑応答)では、下記の要件が満たされていれば、適用可能と掲載されています。
①被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること。
②被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと。
③入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。
④その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。

ただし、課税庁と納税者との間でよく争点となり、実務上は、老人ホームに生活拠点が移ったとみなされ、入居前の自宅敷地を適用対象地として認められるケースが少なく、適用を受けることは困難でした。その一方、特別養護老人ホームについては、認められやすいケースが多いのが実情でした。

改正後の取扱い

一般の老人ホームに入居した場合についても下記の要件を満たせば、適用が可能となります。
①老人ホームの入居が、被相続人に介護が必要なために入所したものであること。
②当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。

※平成26年1月1日以後の相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について適用

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平成24年度の贈与税の申告状況が公表されました

平成24年度の贈与税の申告状況が公表されました

国税庁にて平成24年度の贈与税の申告状況(平成25年3月末までの提出分)が公表されました。昨年(平成24年)度に贈与を受け、申告書を提出された方は、約43万7,000人となり、平成23年度と比べ約1万人増加しました。平成23年度と比べると申告書を提出した方のうち、暦年贈与を適用した方は約39万1,000人となり約1万2,000人増加した反面、相続時精算課税制度を適用した方は約4万6,000人、住宅取得等資金の非課税の贈与を受けた方は約6万4,000人となり、それぞれ約3,000人、約9,000人減少した結果となりました。

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平成25年度税制改正~相続税の小規模宅地の評価減の特例二世帯住宅の取扱~

平成25年度税制改正~相続税の小規模宅地の評価減の特例 二世帯住宅の取扱~

一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合、特定居住用宅地等の特例適用対象となる要件が改正されました。

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未上場株式の大会社における株式保有特定会社の判定基準の改正

未上場株式の大会社における株式保有特定会社の判定基準の改正

平成25年2月28日の東京高等裁判所の判決を受けて、未上場会社の株式の相続税評価額を算定する際の基準が改正されました。

【内容】

 財産評価基本通達189(2)(特定の評価会社の株式/株式保有特定会社の株式)の大会社における株式保有割合の判定基準を「25%」から「50%」に改正されました。したがって、「株式保有特定会社の株式」に該当するかどうかは、課税時期において評価会社の各資産(一定のものを除く)の相続税評価額の合計額に占める株式及び出資の相続税評価額の合計額の割合が50%以上かどうかにより判定することになります。

【上記改正による更正の請求】

上記改正により過去に申告納税された方で、納税額が減額となる場合には、この改正を知った日の翌日から2ヶ月以内に相続税(または贈与税)の更正の請求書を提出することにより、還付を受けることができます。ただし、その還付を受けることができる期間は、相続税の場合には法定申告期限等から5年(贈与税の場合には6年)となります。

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