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平成27年分の路線価の公表

平成27年分の路線価の公表

平成27年7月1日に国税庁から平成27年分の路線価や評価倍率が公表されました。今年度の全国平均は前年比-0.4%と7年連続下落していますが、東京・大阪・名古屋の3大都市では、外国人観光客の増加や再開発等の理由により昨年に続いて上昇しています。

路線価の公表

平成27年7月1日に路線価が公表されました。10都道府県で路線価が上昇しており、前年より上昇している都道府県は下記のとおりとなっております。

【上昇率1%以上の都道府県】
宮城、福島、東京、愛知
【上昇率1%未満の都道府県】
埼玉、千葉、神奈川、京都、大阪、沖縄

地方でも、宮城県(+2.5%、全国1位)や福島県(+2.3%、全国2位)が東日本大震災による住宅供給の高まりなどから上昇している一方で、秋田県(-4.6%、全国ワースト)では人口減少や高齢化が進むなど2極化が進んでいます。

路線価とは

土地の価格は一物多価と言われています。あるひとつの土地でも、利用目的ごとに様々な価格、実勢価格・公示価格・路線価・固定資産税評価額などがあります。その中で、路線価とは、宅地の相続や贈与の際、その宅地の価格の計算(評価)に用いられる1㎡当たりの評価額をいいます。

路線価

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マイナンバー制度について(実務対応等)

マイナンバー制度について(実務対応等)

前回に引き続き、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)のご紹介させていただきます。今回は
申告書等の適用時期と中小規模の事業者の具体的な実務対応を中心に解説させていただきます。

マイナンバーはいつの税務申告から適用となる?

税務関係書類への番号記載時期

(出典:国税庁)
  記載対象 一般的な場合 平成28年中に提出される
主な場合
個人 所得税 平成28年1月1日の属する年分以降の申告書から 平成28年分の場合
⇒平成29年2月16日から3月15日まで
年の中途で出国 ⇒ 出国の時まで
年の中途で死亡 ⇒ 相続開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日まで
贈与税 平成28年1月1日の属する年分以降の申告書から 平成28年分の場合
⇒平成29年2月1日から3月15日まで
年の中途で死亡 ⇒ 相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内
相続税 平成28年1月1日以降の相続又は遺贈に係る申告書から 平成28年1月1日に相続があったことを知った場合
⇒ 平成28年11月1日まで
住所及び居所を有しないこととなるとき ⇒ 住所及び
居所を有しないこととなる日まで
消費税 平成28年1月1日以降に開始する
課税期間に係る申告書から
平成28年分の場合
⇒平成29年1月1日から3月31日まで
個人事業者が年の途中で死亡 ⇒ 相続開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日まで
中間申告書
課税期間の特例適用
法人 法人税 平成28年1月1日以降に開始する事業年度に係る申告書から 平成28年12月末決算の場合
⇒平成29年2月28日まで (延長法人は平成29年3月31日まで)
中間申告書 ⇒ 事業年度開始の日以後6月を経過した日から2月以内
新設法人・決算期変更法人 ⇒ 決算の日から2月以内
消費税 平成28年1月1日以降に開始する
課税期間に係る申告書から
平成28年12月末決算の場合
⇒平成29年2月28日まで
中間申告書
課税期間の特例適用
法人

個人

酒税
間接諸税
平成28年1月1日以降に開始する
課税期間(1月分)に係る申告書から
平成28年1月分の場合
⇒平成28年2月1日から2月29日まで
平成28年中から提出
法定調書 平成28年1月1日以降の金銭等の支払等に係る法定調書から (例)平成28年分給与所得の源泉徴収票、 平成28年分特定口座年間取引報告書
⇒平成29年1月31日まで
(※注)平成28年1月1日前に締結された「税法上告知したものとみなされる取引」に基づく一定の告知及び本人確認については、同日から3年を経過した日以後の最初の金銭等の支払等の時までの間に行うことができる。
(例)配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書は、
支払の確定した日から1月以内
退職所得の源泉徴収票は、退職の日以後1月以内
申請書
届出書
平成28年1月1日以降に提出すべき申請書等から 各税法に規定する、提出すべき期限 平成28年中から提出

※平成28年分の扶養控除等申告書を平成27年中に収集する場合には個人番号を記載する必要はありませんが、あらかじめ個人番号を収集することも可能です。ただし、事前収集の場合でも「安全管理措置」を講ずる必要があり、「本人確認措置」が求められます。

個人番号を取り扱う事業者としての対応と留意点は?

1.個人番号の取得
事業者は社会保障及び税に関する手続書類の作成事務を処理するために必要がある場合に限り、従業員等から個人番号の提供を求めることができます。

取得の際には本人確認が義務付けられており、個人番号カードや通知カード等が必要となります。
控除対象配偶者等がある場合、それらの個人番号も収集する必要があります。
2.個人番号の利用・提供
事業者は従業員の個人番号を社会保障及び税に関する手続書類に記載して行政機関等や健康保険組合等に提出します(個人番号関係事務)。
個人番号関係事務を処理するために必要な範囲に限って特定個人情報ファイルを作成することができます。

本人の同意があった場合でも本来の目的以外で利用・提供することはできません。
3.個人番号の保管
事業者は、従業員等の特定個人情報を利用する必要がある場合に限り、特定個人情報を保管することができます。
この際、情報漏えい等を防止する観点から安全管理措置を講じる必要があり、特定個人情報等を取り扱う機器、電子媒体又は書類等は、適正に管理・保管する必要があります。
4.個人番号の廃棄
事業者は、従業員等の特定個人情報を利用する必要がなくなった場合で、一定の保管期間を経過した場合には、個人番号をできるだけ速やかに廃棄又は削除する必要があります。

この際、廃棄又は削除した記録を保存し、また、廃棄又は削除したことについて証明書等により確認する必要があります。

マイナンバー制度について(行政手続等)

マイナンバー制度について(行政手続等)

前回同様、今回も社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)について、その利用方法及び行政手続関連についてご紹介させていただきます。

マイナンバーはいつから誰がどのような場面で利用しますか?

平成28年1月から、マイナンバーを利用します

平成28年1月から、社会保障、税務、災害対策の行政手続にはマイナンバーが必要となります。マイナンバーは社会保障、税務、災害対策の中でも、法律や地方自治体の条例で定められた行政手続でしか利用することができません。

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※そのほか、社会保障、地方税、災害対策に関する事務やこれらに類する事務で、地方公共団体が条例で定める事務にマイナンバーを利用することができます。

国や地方公共団体などで利用します

国の行政機関や地方公共団体などにおいて、マイナンバーは、社会保障、税務、災害対策の分野で利用されることになります。

このため、国民は、年金・雇用保険・医療保険の手続き、生活保護・児童手当その他福祉の給付、確定申告などの税務手続きなどで、申請書等にマイナンバーの記載を求められることになります。

また、税務や社会保険の手続きにおいて、事業主や証券会社、保険会社などが個人に代わって事務手続きを行う場合もあります。このため、勤務先や証券会社、保険会社などの金融機関にもマイナンバーの提出を求められる場合があります。

民間企業でもマイナンバーを取り扱います

民間企業も、税務や社会保険の手続きで、マイナンバーを取り扱います。

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※また、民間企業が外部の方に講演や原稿の執筆を依頼し報酬を支払う場合、報酬から税金を源泉徴収しなければなりません。そのため、こうした外部の方からもマイナンバーを提供してもらう必要があります。

(出典 内閣府)

マイナンバー制度の導入で変わる税務手続について

マイナンバー制度の導入で変わる税務手続について

社会保障と税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現することを目的として社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)が導入されます。マイナンバー制度導入により税務関係書類の提出の際に本人確認が義務付けられたため、その手続きをここで紹介させていただきます。

「通知カード」と「個人番号カード」の違いは?

個人番号の通知について

個人番号は、12桁の番号で、住民票を有する国民全員に平成27年10月から1人につき1枚「通知カード」という紙製のカードが市区町村から送付されます。
マイナンバー制度では、上記の「通知カード」以外に「個人番号カード」が用意されており、このカードは従来の住民基本台帳カードに代わり新たに交付されるカードになります。2つのカードの違いは下記のとおりとなります。

  通知カード 個人番号カード
カードの種類 紙製のカード ICチップの付いたカード
カードに
記載される内容
氏名、住所、生年月日、性別
マイナンバー
氏名、住所、生年月日、性別
マイナンバー(裏面)
顔写真
本人確認手続き 通知カード単体では本人確認できない
※併せて、運転免許証や健康保険の
被保険証等の提示が必要
本人確認のための身分証として使用できる
自治体条例
サービスの利用
*** 印鑑登録証や図書館カード等の自治体サービス
に利用できる予定
e-Tax等の電子証明書としても利用可能
配布予定時期 平成27年10月から住民票の住所に送付 平成28年1月以降に本人が市区町村に申請し、
通知カードと引き換えに交付

税務関係書類にマイナンバーを記載する時期はいつから?

マイナンバーの記載開始時期

今後、確定申告書や申請書・届出書等を提出する際には、税務関係書類に個人番号を記載することが求められます。実際の提出時期は下記のとおりとなります。

  1. 所得税や贈与税については、平成28年分の申告書から記載(平成29年3月15日期限の確定申告から)
    平成28年分の準確定申告については平成28年中に提出するものから記載

    ※給与所得者は今年、平成27年分の年末調整の際に会社に提出する平成28年分の扶養控除等 申告書から本人と扶養親族のマイナンバーを記載することになります。
  2. 相続税については、平成28年1月1日以降の相続又は遺贈に係る申告書から記載
  3. 申請書・届出書等は、平成28年1月1日以降に提出すべき申請書・届出書から記載

個人番号が記載された税務関係書類を提出する際の本人確認とは?

税務署へ提出する際の本人確認が義務に

個人番号が記載された申告書や申請書・届出書等を税務署へ提出する際には、成りすましを防止するため税務署等で厳格な本人確認が義務付けられます。本人確認には、記載された個人番号が正しい番号であることの確認(番号確認)および申告等を提出する者が番号の正しい持ち主であることの確認(身元確認)が必要とされています。具体的には下記のようになります。

提出する者 番号確認 身元確認
納税者本人が
提出する場合
通知カード 運転免許証、健康保険証など
個人番号カード(1枚で番号確認と身元確認が可能)
税理士等の代理人が
提出する場合
お客様の通知カードや
個人番号カードの写し
  1. 委任状
  2. 代理人の個人番号カードや運転免許証、健康保険証など

平成27年は固定資産税評価額の評価替えの年となります

平成27年は固定資産税評価額の評価替えの年となります

固定資産税評価額は3年に一度見直しがされます。今年はその見直しの年となり4月1日に改定されます。ここ近年、消費税の増税、相続税対策、低金利等の影響もあって、都心では不動産の価格が上昇傾向にあります。固定資産税評価額は、一般的には時価の70%の水準と言われていますので、今年は評価額が上昇する可能性があります。今回は、この固定資産税評価額について説明していきます。

1.先ずは、固定資産税評価額はどのように計算されているのでしょうか?

固定資産税評価額の計算方法

固定資産税評価額= 固定資産税の路線価× 各種画地補正率× 時点修正率× 地積

※上記は固定資産税の路線価を基に計算される宅地の一般的な計算方法です。
各自治体によっては固定資産税の評価要領等によって別に計算方法を定めていたり、1㎡あたりの単価を決めて計算している場合もあります。

2.近年の固定資産税の路線価等はどのような推移となっているのでしょうか?

近年の固定資産税の路線価等

銀座4丁目付近および弊社事務所の近隣(世田谷区玉川台2丁目)の固定資産税の路線価等は下記のとおりとなります。

銀座4丁目付近 (単位:円/㎡)
  平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度
固定資産税の路線価 27,700,000 21,500,000 21,500,000 21,500,000 ?
公示価格 27,600,000 27,000,000 27,000,000 29,600,000 ?
相続税の路線価 22,000,000 21,520,000 21,520,000 23,600,000 ?
弊社事務所の近隣(世田谷区玉川台2丁目) (単位:円/㎡)
  平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度
固定資産税の路線価 462,000 375,000 375,000 375,000 ?
公示価格 539,000 535,000 542,000 552,000 ?
相続税の路線価 430,000 430,000 430,000 440,000 ?

※平成27年度の公表はこれからとなります。

3.固定資産税評価額の影響を受ける税はどのようなものがありますか?

固定資産税評価額を基に計算される税

固定資産税評価額を基に計算される税は、固定資産税や登録免許税等があります。

  1. 固定資産税・都市計画税: 固定資産税評価額× 1.7%
  2. 登録免許税: (例)土地の売買による登録免許税= 固定資産税評価額× 1.5%
  3. 不動産所得税: (例)宅地の購入に係る不動産取得税= 固定資産税評価額× 3%

※課税標準の特例等は考慮しておりません。

従って、固定資産税評価額の上昇が見込まれる地域で、近々、土地の売買や土地の相続登記等を行う場合には4月の登記申請より3月に登記申請をされた方が費用を抑えられる可能性があります。

平成27年1月1日から適用になる相続税と所得税の主な改正点

平成27年1月1日から適用になる相続税と所得税の主な改正点

相続税

(1)相続税の基礎控除額の大幅縮小

【改正前】
5,000万円+ 1,000万円× 法定相続人の数

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【平成27年~】
3,000万円600万円× 法定相続人の数

この基礎控除額40%カットにより、課税対象者の範囲が広がり、税負担の影響が大きい改正です。

(2)相続税の最高税率引き上げ

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(3)小規模宅地等の特例の適用面積緩和

  1. 特定居住用の適用対象面積が拡大
    【改正前】240㎡まで80%減額 ⇒ 【平成27年~】330㎡まで80%減額
  2. 特定事業用(400㎡)と特定居住用(330㎡)のみを適用対象とする場合には完全併用可能(最大730㎡)
    アパートなどの貸付事業用宅地は従来通りの按分調整が必要

所得税

(1)所得税の最高税率の引き上げ(40%→45%へ)

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平成27年から平成49年までの間は、住民税(10%)も加えた最高税率は55.945%(改正前50.84%)となります。

(2)相続税の取得費加算の特例の縮小

※平成27年1月1日以後に開始する相続または遺贈により取得した資産を譲渡する場合について適用

相続により取得した土地を相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に譲渡した場合には、土地について納めた
相続税額を取得費に加算して譲渡所得の金額を計算することができます。

土地等を譲渡した場合に譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額を、その者が相続した「全ての土地
等」
に対応する相続税相当額から、「その譲渡した土地等」に対応する相続税相当額に縮小されます。

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平成27年度税制改正大綱速報

平成27年度税制改正大綱速報

項目 内容 適用時期等
法人税 法人実効税率の引き下げ 国・地方を通じた法人実効税率(現行:34.62%)が、平成27年度に32.11%(▲2.51%)、平成28年度に31.33%(▲3.29%)となります。 平成27年4月1日以後に開始する事業年度より適用
外形標準課税の拡大 ・所得割の税率が引き下げられる一方、付加価値割や資本割の税率が引き上げられ、赤字の資本金1億円超の法人は税負担が重くなります。
・付加価値割に所得拡大促進税制が導入され、一定の賃上げした法人は賃上げ分の一部が課税対象外となります。
平成27年4月1日以後に開始する事業年度より適用
繰越欠損金の控除
縮小・期間延長
1.青色欠損金の繰越控除制度の控除限度額が所得の80%としていた大企業向け制限が、平成27年度に65%、平成29年度に50%に縮小されます。
2.繰越期間が10年(現行9年)に延長されます。
1.平成27年4月1日以降開始する繰越控除をする事業年度より適用
2.平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額から適用
受取配当等の益金
不算入制度の見直し
・受取配当金の益金不算入割合が100%となる場合の出資比率が、現行の25%以上から3分の1超となります。
・出資比率が5%以下の場合は、益金不算入割合が20%(現行50%)に引き下げられます。
大綱では明記されず
地方拠点強化税制の創設 ・地域再生法の改正を前提に、本社機能を東京23区から地方に移した場合(移転型)や、三大都市圏以外の地方拠点の本社機能を強化した場合(拡充型)、新社屋等への投資額の特別償却(最大25%)や税額控除(最大7%)が適用できるようになります。
・従業員の転勤や新規採用によって地方で働く雇用者が増加した場合、1人につき最大80万円を法人税額から控除されます。
地域再生法の改正法の施行日から平成30年3月31日までの間に承認を受けたものについて適用
所得税 ジュニアNISAの創設 未成年者を対象にしたジュニアNISAが創設され、年80万円の非課税枠が設けられます。 平成28年1月から口座開設の申し込み、同年4月から口座に受けいれる上場株式等について適用
NISAの拡充 現行のNISAの非課税枠が年100万円から120万円まで引き上げられます 平成28年分以後の非課税管理勘定について適用
国外転出をする場合の譲渡所得等の特例(出国税)の創設 ・富裕層の海外移住による税逃れを防ぐ対策として、株式等の資産の含み益に出国時に課税される制度が創設されます。
・対象は出国時点で1億円以上の株式等の資産を保有する者等で、5年以内に帰国するなどの一定の場合には課税が取り消されます。
・一定の適用要件を満たす場合は、納税が猶予されます。
平成27年7月1日以後に国外転出する場合等に適用
財産債務明細書の
見直し
・現行の提出基準である「所得金額が2千万円超であること」に加え、「年末に有する財産の価額の合計額が3億円以上であること」または「年末において有する国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること」が追加されます。
・国外財産調書制度と同様、財産債務調書の提出の有無等により、所得税または相続税に係る過少申告加算税等を加減算する特例措置が設けられます。
平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用
消費税 消費税率10%への
引き上げ時期の変更
消費税率の10%への引き上げの施行日が、1年半延期され、平成29年4月1日となります
(景気判断条項は削除)。
平成29年4月1日から適用
国境を越えた役務の
提供に対する消費税
制度の見直し
国外事業者から国内の者へのインターネット等を通じた役務の提供について、国内取引と位置付けて消費税が課税されるようになります。提供される役務が消費者向けである場合は国外事業者が消費税を納税し、事業者向けの場合は役務の提供を受ける国内事業者が代わりに消費税を納税することになります。 平成27年10月1日以後の消費税の課税取引から適用

この速報版は平成26年12月30日公表の自由民主党・公明党平成27年度税制改正大綱に基づいて作成しています。改正は国会の審議を経て可決・決定するものであり、本資料の内容については正確性を期しておりますが、改正内容等の確実性・正確性を保証するものではありません。予定される税制改正を踏まえ意思決定等を行うときは、すべて自己責任でお願いいたします。

領収書等に記載された支払

項目 内容 適用時期等






住宅取得等資金贈与
の延長・拡充
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置が、延長・拡充されます。
【家屋の取得等に係る消費税が10%の場合】
平成28年10月~平成29年9月 2,500万円(3,000万円)
平成29年10月~平成30年9月 1,000万円(1,500万円)
平成30年10月~平成31年6月 700万円(1,200万円)
【上記以外の場合】
~平成27年12月 1,000万円(1,500万円)
平成28年1月~平成29年9月 700万円(1,200万円)
平成29年10月~平成30年9月 500万円(1,000万円)
平成30年10月~平成31年6月 300万円( 800万円)
※括弧内の数字は「良質な住宅用家屋」の場合の非課税限度額
平成31年6月30日まで延長
結婚・子育て資金の一
括贈与に係る贈与税
の非課税措置の創設
個人(20歳以上50歳未満)が一定要件のもとに直系尊属から結婚・子育て資金の贈与を受けた場合、受贈者1人につき1,000万円(結婚費用は300万円)までの金額が非課税となります。 平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に拠出されるものについて適用
教育資金の一括贈与
の延長・拡充
1.適用期限が平成31年3月31日まで延長されます。
2.教育資金の使途の範囲に通学定期券代、留学渡航費等が加えられます。
3.金融機関への領収書等の提出について、領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、かつ、その年中における合計支払金額が24万円に達するまでのものは、領収書等に代えて支払先等の明細書でできるようになります。
3.平成28年1月1日以後に提出する書類について適用
非上場株式等の贈与
税・相続税の納税猶
予制度の拡充
・贈与税の納税猶予制度の適用を受けている者が、同制度を利用して後継者に対する再贈与を行う場合に、贈与税の納税義務が生じないようになります。
・贈与税の納税猶予制度の適用を受けている者が猶予税額が免除される
要件に、身体障害等のやむを得ない一定の理由で、後継者に同制度を利用して非上場株式の贈与をする場合が加えられます。
大綱では明記されず
土地住宅税制 住宅ローン減税の延長 住宅ローン減税の適用期限が平成31年6月30日まで1年6ヶ月延長されます。 平成31年6月30日まで延長
登録免許税等の軽減
措置の延長等
①土地の売買による所有権の移転登記等や住宅用家屋の所有権の移転登記等に係る登録免許税の軽減措置等が2年延長されます。
②住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の標準税率(本則4%)を3%とする特例措置等が3年延長されます。
会社分割に伴う不動産の所有権移転登記等に対する登録免許税の軽減措置が、適用期限の到来をもって終了します。
①平成29年3月31日まで延長
②平成30年3月31日まで延長
③平成27年3月31日で廃止
特定資産の買換特例
の延長
・適用期限が2年3月延長されます(法人税・所得税)
・買換資産から機械装置及びコンテナ用の貨車が除外されます。
・改正後の地域再生法の大都市等(仮称)以外の地域から大都市等への買換えについて、課税の繰延べ割合が最大70%まで引き下げられます。
平成29年3月31日まで延長
空家対策 住宅が建っている土地の固定資産税等の税負担を6分の1に軽減する等の優遇措置が倒壊などの恐れがある空家等については適用対象外となります。 大綱では明記されず
その他 ふるさと納税の拡充 1.個人住民税の寄附金税額控除の限度額が、個人住民税所得割額の20%(現行10%)に引き上げられます。
2.寄附先が5つの自治体までなら確定申告を行わない給与所得者等は、自動的に減税できるようになります。
1.平成28年分以後の個人住民税について適用
2.平成27年4月1日以後に行われる寄附について適用
自動車取得税・
自動車重量税・
軽自動車税
1.エコカー減税(自動車重量税・自動車取得税)について、基準等の見直しが行われた上、適用期限が2年間延長されます。
2.毎年払う軽自動車税が1.5倍に増える軽自動車は、買った翌年度だけ新たな軽自動車税のグリーン化特例が適用されます。
1.取得税は平成29年3月31日まで、重量税は平成29年4月30日まで延長
2.平成27年4月1日から平成28年3月31日までに新規取得したものに適用

この速報版は平成26年12月30日公表の自由民主党・公明党平成27年度税制改正大綱に基づいて作成しています。改正は国会の審議を経て可決・決定するものであり、本資料の内容については正確性を期しておりますが、改正内容等の確実性・正確性を保証するものではありません。予定される税制改正を踏まえ意思決定等を行うときは、すべて自己責任でお願いいたします。

医療費控除について

医療費控除について

入院やインプラント治療をすると多額の医療費がかかります。
このように、自分自身や家族のために支払った医療費が高額である場合には、一定の算式により計算した金額の所得控除を受けることができます。これを「医療費控除」といいます。

医療費控除の対象となるもの

本人・配偶者・子供・兄弟姉妹・両親・祖父母等親族で生計を一にしている人のために支払ったもの。

控除対象となるもの 控除対象とならないもの
  • 治療費,入院費、薬代
  • 入院中の食事代
  • 医師の処方に基づく治療のためのマッサージ、鍼灸費用
  • 通常必要な通院のための交通費
  • 往診のための医師の送迎費
  • 介護保険法に規定する一定の居宅サービス、介護予防サービス
  • 美容整形や人間ドッグの費用
  • 医師の指示によらない差額ベッド代
  • 診断書の作成料
  • 栄養ドリンク、サプリメント
  • マイカー通院のガソリン代,駐車料
  • 医師や看護師への心づけ
  • 有料老人ホームの利用料

医療費控除の対象となる金額

医療費控除を受けるための手続き

医療費控除を受けるためには所得税の確定申告が必要になります。
確定申告書には、医療費の明細書、医療費の領収書、交通費については電車代・バス代のメモ書き等、給与
所得の源泉徴収票などが必要になります。そのため、医療費の領収書は確定申告まで失くさないよう保管して
おく必要があります。申告書の提出は、税務署に直接持参するか、郵送または電子申告で行うこともできます。
電子申告の場合、医療費の領収書はご自身で保管することになります。

平成26年分の確定申告書の提出期限は平成27年3月16日までとなります。
過年度の申告書を提出していなかった場合には、原則5年以内であれば還付を受けることができますので、諦めずにまずは専門家に相談することをお勧めします。

申告書を提出し税務署の確認後、約1ヶ月で還付金が指定口座に振り込まれます。

(注)控除できるかどうかはケース毎の個別の判断となり、実行される際には十分な検討が必要となります。

小規模宅地等の特例と老人ホーム

小規模宅地等の特例と老人ホーム

平成25年度改正により、平成26年1月1日以後の相続について、元気なうちに老人ホームに入所した場合でも、相続開始直前に要介護認定等を受けていればその空き家となった自宅の宅地も小規模宅地等の特例(一定の土地の評価を80%減額)の対象となりました。

改正後の変更点

改正前は、被相続人が老人ホームに入所したことで、自宅が空き家となった場合に、その宅地が小規模宅地等の特例の対象となるには、下記の4つの基準を満たす必要がありました。

改正前 1 身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があったため入所したこと
2 被相続人がいつでも生活できるようにその建物の維持管理が行われていたこと
3 入所後新たにその建物を他の者の居住等の用途に供していた事実がないこと
4 被相続人又はその親族がその老人ホームの所有権や終身利用権を取得していないこと

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改正後(平成26年以後の相続)は、改正前と比べて、基準が緩和され、下記の2つの基準を満たす場合に、小規模宅地等の特例が適用できます。

改正後 1 要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人が老人ホームに入所していたこと
2 入所後新たにその建物を他の者の居住等の用に供していた事実がないこと
(注)被相続人が要介護認定等を受けていたか否かは、あくまで相続開始直前に判定するため、その老人ホームの入所事由は適用判定には影響しません

留意事項

  1. 未届の有料老人ホームに入所した場合

    有料老人ホームの設置については都道府県知事への届出が義務付けられています。届出がされていない有料老人ホームは小規模宅地の特例の対象施設には該当せず、特例の対象外となります。

  2. 老人ホーム入所前に親族等の家へ転居していた場合

    老人ホームの一種である特別養護老人ホームについては、入所を待っている方が多く、入所を待つ間、親族等の家で世話になるため転居するケースがあります。この場合に、生活の本拠が自宅から親族等の家に移っていたといえるときは自宅の宅地は特例の対象外となります。なお、生活の本拠が親族等の家に移っていたかどうかは住民票の場所ではなく、あくまで事実認定によります。

固定資産税の負担増

固定資産税の負担増

先月9月に固定資産税の支払いをされた方も多いと思います。昨年度の固定資産税に比べ税額に変化はなかったでしょうか? 「昨年度の税額より上がっている」と思われる方は、お手元に平成25年度と平成26年度の固定資産税の課税通知書・課税明細書をご準備のうえご確認ください。

平成26年度の固定資産税が上がった理由

固定資産税は、3年に一度評価額が見直されます。直近では平成24年度に評価替えがあったため、平成25年度と平成26年度の評価額は据え置かれます。そのため、基本的には平成26年度の固定資産税は昨年度の金額と同額になるはずです。

しかし、実際に昨年度と比較すると住宅用地(戸建て、アパート、マンション等の敷地)の多くは、固定資産税の金額が上がっているのではないかと思われます。

これは、平成24年度の地方税改正、『住宅用地の負担調整措置の廃止』による影響のためです。

負担調整措置の廃止

土地に係る固定資産税の基本的な計算方法イメージ(住宅用地の場合)

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平成初期のバブル期において、土地の価格が急激に高騰しました。このような状況に合わせ固定資産税の評価額も高騰すれば、税額も合わせて急激に上がることになります。これでは、納税者への税負担も非常に大きくなってしまいます。

そこで、負担調整措置という、土地の価格が高騰しても課税標準額(税額)は急激には上がらず、時間をかけて緩やかに上昇してゆくという制度が適用されました。つまり、負担水準とは、市町村からもらっている評価額の「値引率」を意味しています。

【負担水準(%)=前年度課税標準/本来の課税標準額×100】

例えば、固定資産の納税通知書の負担水準の欄に「85%」と記載があれば、評価額の「15%」を値引いてもらっていることになります。

平成24年度の改正では、この負担水準が「80%以上100%未満」の方を対象に、「値引率」を廃止しました。ただし、突然廃止すると、急激な税負担が発生するため、徐々に「値引率」を下げてゆき平成26年度に廃止することとなったのです。

今後は、特に地主の方々には地代の改定に影響することも考えられますので、ご確認ください。

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平成25年度までは経過措置として一定水準(90%)を超えた住宅用地に対する課税標準額は据置かれていましたが、平成26年度からこの経過措置が廃止されました。結果として、住宅用地にかかる税額が5%程度上昇することがあります。