小規模宅地等の特例と老人ホーム

小規模宅地等の特例と老人ホーム

平成25年度改正により、平成26年1月1日以後の相続について、元気なうちに老人ホームに入所した場合でも、相続開始直前に要介護認定等を受けていればその空き家となった自宅の宅地も小規模宅地等の特例(一定の土地の評価を80%減額)の対象となりました。

改正後の変更点

改正前は、被相続人が老人ホームに入所したことで、自宅が空き家となった場合に、その宅地が小規模宅地等の特例の対象となるには、下記の4つの基準を満たす必要がありました。

改正前 1 身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があったため入所したこと
2 被相続人がいつでも生活できるようにその建物の維持管理が行われていたこと
3 入所後新たにその建物を他の者の居住等の用途に供していた事実がないこと
4 被相続人又はその親族がその老人ホームの所有権や終身利用権を取得していないこと

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改正後(平成26年以後の相続)は、改正前と比べて、基準が緩和され、下記の2つの基準を満たす場合に、小規模宅地等の特例が適用できます。

改正後 1 要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人が老人ホームに入所していたこと
2 入所後新たにその建物を他の者の居住等の用に供していた事実がないこと
(注)被相続人が要介護認定等を受けていたか否かは、あくまで相続開始直前に判定するため、その老人ホームの入所事由は適用判定には影響しません

留意事項

  1. 未届の有料老人ホームに入所した場合

    有料老人ホームの設置については都道府県知事への届出が義務付けられています。届出がされていない有料老人ホームは小規模宅地の特例の対象施設には該当せず、特例の対象外となります。

  2. 老人ホーム入所前に親族等の家へ転居していた場合

    老人ホームの一種である特別養護老人ホームについては、入所を待っている方が多く、入所を待つ間、親族等の家で世話になるため転居するケースがあります。この場合に、生活の本拠が自宅から親族等の家に移っていたといえるときは自宅の宅地は特例の対象外となります。なお、生活の本拠が親族等の家に移っていたかどうかは住民票の場所ではなく、あくまで事実認定によります。