注目される非嫡出子の法定相続分
7月10日に最高裁の法廷で非嫡出子(婚外子)の法定相続分を争われた遺産分割審判の特別抗告審の弁論が行われ、結審されました。民法900条(法定相続分)の4号の但し書により、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。」と定められており、嫡出子(法律上、結婚された夫婦の間に生まれた子)と比べ、非嫡出子の法定相続分は半分とされています。
この法定相続割合の規定は、「法の下の平等を定めた憲法に違反する」と非嫡出子が訴え、今年の秋にも結果が出される予定です。この問題は、過去にも取り上げられ、平成7年7月5日の最高裁判決では、「憲法14条1項は法の下の平等を定めているが、憲法の規定は合理的理由のない差別を禁止する趣旨のものであって、各人に存する経済的、社会的その他種々の事実関係上の差異を理由としてその法的取扱いに区別を設けることは、その区別が合理性を有する限り、何ら憲法の規定に違反するものではない」と合憲とされました。
同様の規定がドイツでは1998年に、フランスでは2001年に廃止の法改正が行われる等の結果、欧米各国には存在しません。
この度の結果次第では、民法で定める法定相続割合が抜本的に変わる可能性があり、今後の遺産分割や相続税に大きく影響を及ぼすため、この結果は、非常に注目すべきものとなります。
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